仕事で怒られたら自分が悪いと落ち込む・・・
と、深く悩んでいませんか。
どんな仕事でも、怒られたら自分が悪いと思って落ち込んだり、注意されると落ち込むのは、とても自然なことです。
そんなことは世界中の誰でも同じことです。
逆に、落ち込まないほうが良くないです。
問題なのは、怒られたあと引きずることです。
「怒られたことが頭から離れない」とか「怒られたあとが気まずい」、「怒られてばかりで疲れた」・・・。
そうなってしまうと、ミスも起こりやすくなります。
そこで、どうすれば怒られたあとに切り替えができるのか、怒られても気にしないメンタルになれるのか、怒られてもケロッとしてる人のようになれるのか、解説してきます。
最後まで読んでもらえれば、怒られてもそれほど落ち込まず、引きずらなくなるようになっていくはずです。
ただし、怒られても全く気にしなくなるというのとは、ちょっと違いますので気を付けてください。
- なぜ怒られると深く落ち込み、引きずってしまうのか
- 理不尽に怒られた時の正しい心の持ち方
- 落ち込んだ気持ちを素早く切り替える具体的な方法
- 怒られた事実と感情を分離する思考法
なぜ、怒られた自分が悪いと落ち込むのか
- 落ち込むのは当然、引きずるのが問題
- 怒られたあと引きずる根本的な原因
- 怒られたことが頭から離れない心理
- 注意されると落ち込む人の思考クセ
- 怒られてばかりで疲れたと感じる理由
落ち込むのは当然、引きずるのが問題
繰り返しになりますが、まず大前提として、人から怒られて落ち込むのは、非常に自然で当たり前の感情です。
怒られるという行為は、脳にとって「攻撃された」という強いストレス刺激です。
ショックを受けるのは当然の防衛反応と言えます。
問題なのは、落ち込むことそのものではなく、そのネガティブな感情を「引きずってしまう」ことです。
落ち込んだ気持ちが数時間、あるいは数日も続いてしまうと、「自分はダメな人間だ」という自己否定につながります。
すると、次の仕事への意欲を削ぎ、さらには新たなミスを誘発するようになります。
落ち込むのは一瞬の反応。
しかし、引きずるのは「思考のクセ」です。
このクセを理解し、断ち切ることが重要になります。
ただし、怒られたというのは、あなたが何かしらのミスをしたということです。
そのことは変わらないので、絶対に忘れないでください。
怒られたあと引きずる根本的な原因
では、なぜ怒られたあとに引きずってしまうのでしょうか。
その根本的な原因は、多くの場合、「またやってしまった」という過去の経験との結びつきにあります。
特に子供の頃から「いい子」でいることを求められ、親や先生から怒られないように生きてきた人ほど、怒られることへの耐性が低い傾向があります。
また、怒られたことに対して、非常な執着心がある場合があります。
社会人になって初めて直面する「理不尽な叱責」や「ミスによる叱責」は、「完璧でなければならない」という自分の価値観を根底から揺るがします。
ミスを繰り返すたびに「やっぱり自分はダメなんだ」という自己評価が強化されます。
一度怒られると、過去のすべての失敗の記憶が呼び起こされ、必要以上に深く落ち込み、引きずってしまうのです。
怒られたことが頭から離れない心理
「怒られたことが頭から離れない」状態は、心理学で「反すう思考」と呼ばれます。
これは、ネガティブな出来事を何度も頭の中で繰り返し再生してしまう思考のクセです。
人間の脳は、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事の方を強く記憶し、頻繁に思い出すようにできています。
これは、危険を回避するための生存本能です。
現代社会ではこれが過剰に働いてしまうことがあります。
怒られた場面を思い出し、「あの時こう言えばよかった」「なぜあんなミスを」と考えることは大事なことです。
ただ、それを何度も繰り返し考えることは、脳内で何度も同じストレスを受け続けているのと同じ状態です。
これにより、ストレスホルモンが出続け、感情の切り替えが非常に難しくなります。
注意されると落ち込む人の思考クセ
「怒られた」わけではなく、単に「注意された」だけでも深く落ち込む人には、特有の思考のクセ(自動思考)があります。
それは、「指摘=人格否定」と無意識に捉えてしまうクセです。
相手は「仕事のやり方(行動)」というピンポイントな問題を指摘しているだけなんです。
ところが、深く落ち込みやすい人は、「だから君はダメなんだ(存在)」と、自分の人格全体を否定されたかのように拡大解釈してしまうのです。
この思考のクセがある人は、自己評価がぐらついていることが多いです。
自分の価値を他人の評価に依存しています。
他人からの少しのネガティブなフィードバックも、自分の価値全体を揺るがす大きな脅威として感じてしまいます。
怒られてばかりで疲れたと感じる理由
「怒られてばかりで疲れた」と感じるのは、精神的なエネルギーが枯渇しているサインです。
怒られることは、強いストレス反応を引き起こします。
これにより「コルチゾール」などのストレスホルモンが分泌され、心身は臨戦態勢に入ります。
この状態は非常にエネルギーを消耗します。
さらに、怒られないように常にビクビクと緊張状態を保つこと、落ち込んだ気持ちから回復するためにエネルギーを使うこと、これらが積み重なり、常に心のバッテリーが充電不足の状態になります。
その結果、少しの刺激(注意)でも「もう無理だ」「疲れた」と感じてしまうのです。
この状態を放置すると、心の問題につながる可能性もあり、決して「気のせい」や「甘え」で片付けてはいけない重要なサインです。
参考:こころの耳(厚労省)
怒られた自分が悪いと思って落ち込むループからの脱出法
- 理不尽に怒られた時の思考法
- 怒られている最中の正しい聞き方・謝り方
- 怒られたあとの切り替えの具体策
- 感情と事実を分離して考える
- ミスを分析し改善策を立てる
- 怒られてもケロッとしてる人の思考法
- 怒られても何とも思わなくなるのは危険?
- 怒られた後の気まずい雰囲気の解消法
- まとめ:怒られた自分が悪いと落ち込むのは普通
理不尽に怒られた時の思考法
まず大切なのは、怒られた原因が「すべて自分が悪い」とは限らないと知ることです。
中には、上司の機嫌や勘違いといった理不尽な理由で怒られることもあります。
このような場合、まともに受け止めて落ち込むのはエネルギーの無駄です。
ここではアドラー心理学の「課題の分離」という考え方が役立ちます。
怒られたときの課題を分離してみます。
- 相手の課題: 理由もなくイライラしている、機嫌が悪い、感情をコントロールできない。
- 自分の課題: 指摘された内容が事実であれば改善する、事実でなければ気にしない。
相手の「機嫌が悪い」という課題まで、あなたが背負う必要はありません。
「何か嫌なことがあったんだな」と心の中で受け流し、自分の人格とは一切関係のない「外部のノイズ」として処理しましょう。
あなたが悪いわけではないのですから、落ち込む必要もありません。
怒られている最中の正しい聞き方・謝り方
落ち込みを引きずらないためには、「怒られている瞬間」の対応が非常に重要です。
この時の振る舞い方次第で、相手の怒りを増幅させることも、最小限に抑えることもできます。
1. まずは「言い訳」をしない
怒られている最中に「でも」「だって」と防衛反応で言い訳をすると、相手は「反省していない」と受け取り、さらに怒りが増幅します。まずは相手の言い分を最後まで聞く姿勢が重要です。
2. 自分が悪い場合は、素直に謝罪する
明らかに自分に非があるミス(納期遅れ、報告漏れなど)であれば、「申し訳ございません」と潔く謝罪します。ここで重要なのは、相手の感情にではなく、「ミスという事実」に対して謝罪することです。
3. 「アドバイス」として感謝を伝える
相手の怒りが少し収まったタイミングで、「ご指摘、ありがとうございます」と伝えます。これは、「怒ってくれてありがとう」ではなく、「わざわざ時間を使って改善点を教えてくれてありがとう」という意味です。相手も「注意してよかった」と感じ、関係が悪化しにくくなります。
怒られたあとの切り替えの具体策
怒られた直後は、どうしてもネガティブな感情に支配されがちです。
その感情を引きずらないために、意識的に「切り替え」の行動をとりましょう。
人間の脳は、新しい情報や体験によって、古い記憶(イヤな記憶)を「上書き保存」する性質があります。
これを利用します。
- 物理的に場所を変える
その場を離れ、トイレに行く、給湯室でお茶を淹れる、一度外の空気を吸うなど、物理的に環境を変えるだけでも気分は切り替わります。 - 小さなTO DOを機械的にこなす
「メールを1通返す」「書類をスキャンする」など、何も考えずにできる小さな作業に集中します。行動に意識を向けることで、反すう思考から抜け出しやすくなります。 - 好きなものに触れる
好きな音楽を聴く(イヤホンで)、好きな飲み物を飲む、好きな香りを嗅ぐなど、五感を喜ばせることで、脳が感じるストレスを上書きします。
落ち込んだ状態での反省は、ネガティブな思考を強化するだけです。
まず切り替え、冷静になってから反省する、という順番を守ってください。
感情と事実を分離して考える
落ち込みを引きずる人は、「怒られた」という出来事と「自分はダメだ」という感情を直結させてしまいます。
この2つを意識的に分離する(切り離す)ことが、メンタルを守る上で最も重要です。
心理学では、出来事と感情の間には「自動思考(無意識の考えのクセ)」があるとされます。
【落ち込む人の思考】
「怒られた」(出来事) → 「自分はダメな人間だ(自動思考)」 → 「落ち込む」(感情)
【落ち込まない人の思考】
「怒られた」(出来事) → 「ミスを指摘された。次は気をつけよう(自動思考)」 → 「反省する」(行動)
つまり、あなたは「怒られたから」落ち込んでいるのではなく、「自分はダメだ、と解釈したから」落ち込んでいるのです。
この「自動思考」のクセに気づき、「いや、人格否定じゃない。ミスへの指摘だ」と別の考え方を差し込むことが、落ち込みを断ち切る鍵となります。
ミスを分析し改善策を立てる
落ち込むことに使っている精神的エネルギーを、「ミスの分析」と「改善策の立案」という建設的な行動に向けましょう。
これができれば、落ち込んでいる暇はなくなります。
なぜそのミスが起きたのか、客観的に分析します。
- 原因: 単なる不注意か?知識不足か?報連相の不足か?
- 対策: チェックリストを作る、アラートを設定する、わからないことは早めに聞く、など。
例えば、「予定を忘れて怒られた」なら、対策は「メモの取り方を変える」ことです。
- 予定が決まったら、必ず手帳(またはツール)にその場で書く
- 毎日朝一番にその手帳を見ることをタスクにする
- 完了したらチェックを入れる。
この作業を、怒られるたびにやってください。
もしも、同じことで怒られたら、いずれかのステップに不備があった可能性があるので、改善していきます。
たとえば、予定を忘れるミスを繰り返すのなら、手帳に書くのではなくて、「ポストイットに書いて机上カレンダーに貼る」などです。
このように、具体的な行動レベルの「改善ステップ」を作ることに集中すれば、意識は「過去の失敗」ではなく「未来の成功」に向かいます。
怒られてもケロッとしてる人の思考法
あなたの周りにいる怒られてもケロッとしてる人は、本当に何も感じていないのでしょうか。
そうではありません。
彼らの多くは「落ち込まない」のではなく、「切り替えが早い」だけです。
おそらく、怒られた後の5秒や10秒で思考を切り替えています。
彼らの思考法には、以下のような特徴があります。
- 人格と行動を分けている:「ミス(行動)は悪かったが、自分(人格)は悪くない」と切り離せています。
- 他者評価を気にしすぎない:「上司は怒っているが、それは上司の感情。自分の評価とは別」と割り切っています。
- 失敗を「学び」と捉える:「怒られた=新しい学びを得た。次は大丈夫」とポジティブに変換しています。
彼らは、怒られた事実を「自分を成長させるための情報」として処理しています。
そのうえで、不要な「感情(怖い、恥ずかしい)」は受け取らないようにしているのです。
怒られても何とも思わなくなるのは危険?
一方で、「怒られてもケロッとしてる」が度を超して、「怒られても何とも思わなくなった」という状態になった場合、それは危険なサインです。
これは「怒られ慣れた」のではなく、度重なるストレスから心を守るために、感情そのものを麻痺させている状態(防衛機制)の可能性があります。
嬉しい、楽しいといったポジティブな感情も感じにくくなっていないでしょうか。
怒られるべきミスをしても反省せず、「どうせ自分はダメだから」と諦めてしまうのは、成長の機会を放棄していることになります。
「何も感じない」状態は、心がSOSを発しているサインかもしれません。
自分の心の状態に注意を払い、必要であれば専門家への相談も検討してください。
参考:こころの耳(厚労省)
怒られた後の気まずい雰囲気の解消法
怒られた後に一番辛いのが、「気まずい」雰囲気です。
「明日、どんな顔で会えばいいんだ…」と悩むことも多いでしょう。
実は、怒った側も「言い過ぎたかな」「辞めるとか言い出さないよな」と後悔し、気まずく感じているケースが少なくありません。
この気まずさを解消する最も効果的な方法は、怒られた側(あなた)から行動を起こすことです。
翌朝、あるいは少し時間を置いてから、相手の元へ行き、明るく(ただし反省の意は込めて)こう伝えてみてください。
この一言で、相手は「引きずっていないな」「ちゃんと反省を次に活かそうとしているな」と安心します。
気まずい雰囲気はリセットされ、むしろ「期待の表れ」として関係性が改善することさえあります。
勇気がいる一歩ですが、効果は絶大です。
まとめ:怒られた自分が悪い時に落ち込むのは普通
怒られた自分が悪いと落ち込むのは、あなただけではありません。
その感情を引きずらないための思考法と行動が重要です。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 怒られて落ち込むのは自然な反応。問題はそれを引きずること
- 引きずる原因は「またか」という過去の経験や「人格否定」と捉える思考のクセ
- 「怒られたことが頭から離れない」のはネガティブなことを反すうする脳の仕組み
- 「注意されると落ち込む」のは「指摘=人格否定」という無意識の解釈が原因
- 「怒られてばかりで疲れた」は精神的エネルギーが枯渇しているサイン
- 理不尽に怒られた時は「課題の分離」で相手の機嫌と自分の課題を分ける
- 怒られている最中は「言い訳せず」、ミスという「事実」に謝罪する
- 指摘を「アドバイス」と捉え「ありがとうございます」と伝えると関係が悪化しにくい
- 落ち込んだら物理的に場所を変えるなど「切り替え」を意識的に行う
- 「怒られた(出来事)」と「自分はダメだ(自動思考)」を切り離す
- 落ち込むエネルギーを「ミスの原因分析」と「改善策の立案」に使う
- 「ケロッとしてる人」は落ち込まないのではなく、切り替えが早い
- 「何も思わなくなった」は感情の麻痺。心のSOSサインかも
- 「気まずい」雰囲気は、落ち込んだ側から「ありがとうございます」と声をかけることで解消できる
- あなたはダメではない。ただ「思考のクセ」と「切り替え術」を知らなかっただけ
